虫歯がひどくなり、どうしようもなくなって奥歯を1本抜いてしまいました。
1本ぐらい歯がなくても、とりあえず食事はできるし、少し不自由かもしれないけど、大きな問題もないからこのまま放っとこうかな…

被せが外れてしまいました。
ちょっと気になるけど、痛くないし、このまま放っとこうかな…

こういう状況で放置されている方が結構おられます。
本当にこのままで大丈夫なんでしょうか…

歯が抜ける＝老化がすすむ

今は超高齢社会です。高齢者の数はとても多くなり、歯が抜けている方も多くなりました。
歯は上あごと下あごの接点で、かみ合わせを構築しています。
歯が抜けるとかみ合わせのバランスが狂い、下あごはズレて、頭は傾きます。
そして頭が傾くと姿勢が歪みます。
例えば、奥歯が無くなると、頭の奥の支えが無くなり、重心が後ろに行くと転びそうになります。
後ろが怖くなると、無意識に腰を屈めて前かがみになり、歩く際も足を高く上げるのが怖くなり、歩幅を狭めてすり足での歩くようになります。

そう！　街でよく見かける高齢者の歩く姿です。

また、左右のバランスが悪くなるとふらつきが生じ、杖を持つようになったり、ひどくなるとめまい症状が出たりします。

若くて体力のある時は、少々のバランス不良でも筋力でカバーできますが、加齢とともに筋力も落ち、次第に歩くのに自信が無くなり、外出の機会も減り、行動範囲がどんどん狭くなっていきます。
歩くのに不安を覚えるようになると、今まで毎日のように外出していたのが、外出の機会が減り、知人と会話する機会も減り、どんどん刺激が少なくなっていきます。
脳への刺激が少なくなると、認知症などに悪影響が出てくるかもしれません。

実は、歯が抜けるという事は、老化が進むということなんですね。

歯が抜けた時の治療法は？

歯が抜けた際に行う治療法は３つあり、入れ歯、インプラント、ブリッジの選択となります。

この３つの選択肢には、一長一短があります。

ブリッジ

ブリッジは固定式で違和感が少なく、しっかりと噛めるのが特徴です。
但し、基本的には自分の歯を削らないといけませんし、将来の虫歯のリスクは残ります。
また、両側の自分の歯を支柱にして、橋を掛ける様に連結冠を装着しますので、基本的に両側に自分の歯があることが前提となります。
削らないブリッジや中途半端な削り方のブリッジだと、長期的に使用することが難しいかもしれません。
歯を削らないということを重視すると、治療法はインプラントか入れ歯になります。

インプラント

インプラントは現在ではかなり普及した治療法で、あごの骨の条件さえ十分であれば日帰りの簡単な手術で済み、術後の痛みや腫れは心配するほどでもありません。
固定式なので、ブリッジと同様に、違和感が少なくしっかり噛むことができます。
但し、チタン製のインプラントをあごの骨の中に埋め込む手術が必要で、メンテナンスもしっかりやらないとインプラント周囲炎を発症する場合がありますので、歯周病のひどい方は避けた方が無難かもしれません。
年齢的に早い段階でやったインプラントは、比較的条件の良いケースが多く、長期的（20～30年など）に使用することも可能です。
しかし、あまり高齢になると新陳代謝が悪くなっていくので、インプラントと骨がしっかり結合しないケースも増えていきます。また様々な病気の発症に伴い、インプラントの手術ができない状況になる方もおられます。

入れ歯

入れ歯は歯を削る量も少なく（金具の引掛け部分のみ）、歯が入るまでの期間も比較的短いです。
但し、他の２つと比較すると、違和感は一番大きく、しっかりとは噛めないかもしれません。
また、食事の度に外して清掃する必要があります。
ただ介護などを考えると、入れ歯はお世話する方が外して清掃出来ますし、残っている歯の数が少なければ、口の中をきれいにしてもらう場合も比較的容易に清掃が可能になります。